2022-05-29

小説家に、恋をした。

ここ数年、読書の量が増えている。
そのおかげで読むスピードも上がっているので、ますます「次は何読もうか」という欲求が絶えることがない。

若い頃は、いかにも自分は小説が好きなライターですといわんばかりに、太宰とか、宮沢とかを読んでいたが、最近はどんどん振り幅を広げてハードボイルドやホラーなど思いつくまま手にしている。

そこで、あらためて自分はエンターテイメントでも純文学でも、結局、好みの文体があって、その文体に触れている居心地の良さに小説の醍醐味を感じるタイプなのだと思っている。

特にお気に入りは、西加奈子。

さくら、最高に楽しかった。読んでいて「終わらないでほしい」と思った久しぶりの作品だ。

物語も素晴らしいんだけど、それだけではなく、むしろここが一番大事なのだけど彼女が持っている文体やリズム、文性とでも表現したくなる、作者そのものが好きになってくる。

これは恋に近い。作品を通して作者にうっとりするのだ。

よく中学生や高校生が、憧れのスポーツ選手の熱のこもったプレイを観て、「勇気をもらいました。わたしも頑張らなきゃ」といった類の汗臭いコメントをしている。ぼくはいつもそれを聞いて、ふん、ガキって安いもんだな、などと小馬鹿にしていた。だが、すいません。

小説を読んで、勇気をもらいました。表現する力をもっとつけて、自分だけの作品を仕上げたいと、まじで感激した。

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