2022-05-16
ストーリー軸で、人を動かさない。
いくつかの小説を読むうちに、自分にとって好きな小説とあまり好きになれない小説の違いが何なのかわかるようになった。(嫌いな小説と書かない理由は、嫌いな小説なんてないから)
それは、ストーリー軸で人を動かさない小説か、動かしている小説か、の違いだ。
ストーリーを進めようと無理矢理、登場人物を都合よく行動させていると感じてしまう、と読んでる途中で冷めてしまう。気持ちが入らないまま、どこか他人行儀に最後まで読んでしまうのだ。
一方、ストーリーはもちろん進んでいくのだけれど、「登場人物だったらこんなことはしない」と登場人物の心の声を読み取り、多少ストーリーから外れたとしても、読んでいて気持ちの良い揺らぎを感じる。そんな作品が大好きだ。
そんな作品を書けたら、どんなにいい気分だろう。
組み立てたストーリー通り原稿を書いていたら、突然、登場人物(仮に主人公)が作者の心に話しかけてくる。
主人公「あ、あの悪いんだけど、ぼくは絶対にこのシーンでは泣かないよ」
作者「いや、それは困る。大切な友達が死んだところで、滅多に人前で涙を見せない君が泣くから読者はぐっとくるんだ」
主人公「いやいや、むしろその逆だな。他の奴が泣いてても、ぼくは決して泣かない。むしろ、怒りのほうが強くて涙もでない。泣くのは全て片付いてからだ。そこでようやく友達のことを想う……」
作者「なるほど、その方が確かに君らしい。本人が言うから間違いない。ありがとう、ここは書きかえるよ」
なんつって。
タグ: ストーリー軸
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