2022-05-09
幻聴が、聞こえた。
週1日ほど、業務委託を結んでいる会社に終日勤務している。
朝、1時間ほど早めに会社に向かい、すぐ近くのカフェでモーニングをするのが習慣だ。
カフェは、コメダ珈琲店に似たコーヒーもトーストもあまりおいしくない地方のフランチャイズで、ぼくはいつもホットのカフェオレと無料でついてくる半切れの小倉トーストと茹で卵を頼む。
月曜日はわりと賑わう。70%ほど席が埋まっており、その半分は近所の老夫婦で占める。
ぼくの席の真正面にも老夫婦が居て、ホットコーヒーを飲みながらお互い無言で雑誌を読んでいる。
BGMには、JAZZが流れている。こういった場所でかかるJAZZは全く当たり障りのない音楽でなくてはいけないので、今の今まで流れていた曲を思い出せないほど演奏に癖がない。
突然、左側から「やっ!!」っという男性の大きな奇声が響いた。びくっと心臓が揺れた。
もっと正確に表現するなら、英語のyesのスラング表現の”yep!!”(イェップ!!)だ。
声が聞こえた方を向くと、老夫婦がたんたんとモーニングセットのサラダをつまんでいる。
ところが、周りを見ても、誰一人として声の方を振り向いたり、怪訝な顔をしたりするものはいない。
ん?……ひょっとすると、幻聴か?
【幻聴】幻覚の一つ。実際には音がしていないのに、聞こえたように感じること。
明鏡国語辞典第二版
幻聴の原因も調べてみた。
- 統合失調症(青年期に起こる心の病気)/おっさんなんで、これは多分違う。
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)/いわゆるトラウマ。これも違うかな。
- 薬物やシンナー、アルコールの影響/これは絶対ない。
- 軽い認知症/げっ、まじか、これだったら嫌だな。
さすがに認知症はない。うん、まだ、もう少し、あとだと思う……。
幻聴だったのか、気のせいだったのか……。
真正面の老夫婦は朝食を終え、デザート代わりに大量のサプリメント(または薬)を飲んでいる。
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